ふだんからワインを飲んでいるけどあまりワインの知識がないと感じているかた、いつも飲んでいるワインからワンステップ上のワインを飲んでみたいと思っていませんか?そうはいっても何を選んでよいかわからない、というかたのために、ステップアップするための方法をお伝えします。
もうワンステップ上のワインを選ぶ方法
ワインを日常的の食事に取り入れていて、品種や味わいの好みがなんとなくわかってきたというかた、もっとワインを楽しみたいと思っていませんか?
なんでもある程度の期間親しんでいると、もっと上をめざしたい、知りたい、経験してみたいと思うもの。ワインも同じで、今飲んでいるワインより、よりよいものを飲みたいと思うのは自然なことです。でも、どうやってステップアップしていけばよいのでしょうか。
ワインを勉強して知識をつければ、もちろんワインを知ることができますが、時間がかかります。
そんなときは、どうするかというと、、、人に頼りましょう!
だれに頼るのかというと、ワイン評論家です。
ワイン評論家
ワインの世界には、「ワイン評論家」がいます。ワイン評論家は、ワインの深い知識と高いテイスティング能力を持ち、ものすごい数のワインをテイスティングして評価します。
そんなプロの評価を参考にしてみましょう。
ロバート・パーカー
最も有名なワイン評論家といえば、やはりロバート・パーカーです。ロバート・パーカーは、1978年にアメリカでワイン評価誌『ワイン・アドヴォケイト』誌を創刊しました。100点満点で評価がおこなわれる方法が消費者にとってわかりやすく、ロバート・パーカーは大きな影響力を持つようになりました。ロバート・パーカーが高得点をつけたワインは、価格が跳ね上がるようになったのです。
ワインに点数をつけるということ自体に賛否両論はありますが、ロバート・パーカーが天才的なテイスティング能力の持ち主だということは間違いありません。
そんなロバート・パーカーも2019年に71歳で引退を表明しました。彼の引退後も『ワイン・アドヴォケイト』は続いていますので、その点数を参考にしてみるのもよいでしょう。ワインショップなどで「RP」と記されているのは、「ロバート・パーカー」、「WA」は「ワイン・アドヴォケイト」です。
ワインの評価は、まず基礎点50点が与えられ、外観5点、香り15点、味わい20点、全体の質10点が加点され合計100点満点です。
点数の意味は、下記となり、80点以上が「良いワイン」とされます。
100点~96点:格別
95点~90点:傑出
89点~80点:優良
79点~70点:平均的
69点~60点:平均以下
59点~50点:受け入れられない
ジェームス・サックリング
今、最も注目されているワイン評論家といえば、ジェームス・サックリングです。現在63歳のジェームス・サックリングは、30年間近くワイン評価誌『ワイン・スペクテイター』の編集長およびヨーロッパ局長として働き、2010年にJamesSuckling.comを立ち上げました。
ジェームス・サックリングは、今まで25万種類近くのワインをテイスティングしたという超人で、2020年のテイスティング数は1万8千種類、今年は2万5千種類になるだろうといっています。JamesSuckling.comでは、現在13万ものワインの評価を提供していて、1か月に2000のワインを評価しています。
このものすごい数のワイン評価がジェームス・サックリングの影響力でもあります。
また、SNSでの発信にも力を入れていて、インスタグラムでは29万人、フェイスブックでは7.9万人、ツイッターでは5.4万人のフォロワーを獲得しています。
特にインスタグラムは、1日に複数回の投稿をしていて、世界の生産者との対話動画もあるので、要チェックです。大量のワインに囲まれているジェームス・サックリングを見るだけでもおもしろい!こんなにもたくさんのワインをテイスティングするには、鉄の肝臓が必要です。同じ人間とは思えず、うらやましい限りです。
さらに、年間20以上の大規模なイベントもおこなっていて、とにかく人気のあるジェームス・サックリング。一見普通の人に見えますが、これだけ影響力があるとカッコよく見えてきます。
ジェームス・サックリングの評価も100点満点でおこなわれます。
ロバート・パーカーと採点方法が異なり、外観15点、香り25点、ボディとストラクチャー25点、全体の印象35点で、合計100点満点となります。
ジェームス・サックリングの点数の意味は、下記の通り。
100点~95点:マストバイ(買うべき)
94点~90点:すばらしいワイン
89点以下:買う価値はあるかもしれないが注意が必要なワイン
ワインショップなどで「JS」と書かれているのは、ジェームス・サックリングのことです。JSの点数やジェームス・サックリングのSNSを参考にしてワインを飲んでみるのも楽しいものです。
ジェームス・サックリングは、年に1度「TOP100」のワインを発表します。大注目のこのランキング、2020年の栄光の第1位に輝いたのは、アルゼンチンのボデガ・チャクラの「トレインタ・イ・ドス」2018年ヴィンテージ。
ここで、ボデガ・チャクラについてご紹介します。
ボデガ・チャクラ
ボデガ・チャクラは、2004年にピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏により設立されたワイナリーです。ピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏は、イタリアのスーパータスカンの造り手テヌータ・サン・グイド(サッシカイア)の創設者マルケーゼ・マリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏の孫息子にあたります。
マルベックが主要な産地であるアルゼンチンで、ピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏はピノ・ノワールの栽培に挑戦しました。ビオディナミ農法をおこない、自然との調和がとれたブドウ栽培をしています。
こちらは、ボデガ・チャクラが造る「バルダ」。ボデガ・チャクラのピノ・ノワールを気軽に楽しむことができるワインです。イチゴやラズベリーの果実の香り、フローラルなニュアンスがあります。美しい酸とタンニンが調和しているしなやかな味わいです。
次に、ジェームス・サックリング100点満点を獲得し、「TOP100」2020年で第10位に入ったクロ・アパルタの「クロ・アパルタ2017年」をご紹介します。
クロ・アパルタ
クロ・アパルタはチリのワイナリーで、アレクサンドラ・マルニエ・ラポストールと夫のシリル・ド・ブルネにより1994年に設立されました。妥協しないブドウの栽培、丁寧なワインの醸造をおこなっています。また、オーガニック農法とビオディナミ農法の認証を取得していて、サステイナブルな取り組みにも積極的です。自然酵母で発酵させるといったナチュラルなワイン造りだけでなく、二酸化炭素排出を抑える仕組みの導入や、搾りかすを堆肥に利用するなど環境に配慮しています。
「クロ・アパルタ2017年」
フレンチオークでの27か月の熟成を経たこのワインは、複雑なアロマがあり、ラズベリー、野生のイチゴなど果実の香りがいっぱいです。味わいはなめらかで、シルキーなタンニン。スパイス香も口の中で感じられ、余韻が長くエレガントです。
まとめ
ワインを日常的に飲んでいるけど、なんとなくワインを選んでいるというかた。ワイン評論家を頼りにワインを選んでみると、評価の高いワインを味わうことができ、今のトレンドも知ることができます。指標を示すのがワイン評論家の仕事でもありますので、それを利用しない手はありません。情報があふれている現代、情報をうまく使って、ステップアップしていき、楽しくワインを飲みましょう!