ワインの銘柄はよくわからないというかたでも、「シャブリ」という名前は一度でも聞いたことがあるでしょう。シャブリとは?いまさら聞けないシャブリの基本と、おすすめのシャブリをご紹介します。
シャブリとは
シャブリとは、フランスのブルゴーニュ地方の最北に位置するシャブリ村で生産される辛口の白ワインです。
ここで注意したいのが、シャブリはシャルドネ種100%で造られるということです。シャルドネ以外のブドウ品種をブレンドしたりはしません。また、赤ワインが存在するということはありません。
シャブリワインの味わい
シャルドネは、ブルゴーニュ地方が原産のブドウ品種で、世界で広く栽培されています。そして、産地によって、味わいが大きく異なるという特性があります。それぞれの土地特有のおいしさが発揮されるシャルドネですが、シャブリが世界中で有名なのは、シャブリ村で造られるシャルドネの味わいが唯一無二だからなのです。
シャブリの味わいは、シャープな酸味があり、豊富なミネラル感を感じることができます。この酸味とミネラル感がシャブリの最大の特徴で、その秘密はこの地の気候と土壌にあります。
シャブリの気候と土壌
シャブリ村は、緯度が高く、冷涼な気候です。そのため、シャブリ村で育ったシャルドネからできるワインには、豊かな酸味が生まれます。
また、シャブリ村の土壌には、1億5千万年の歴史があるといわれています。恐竜の時代、この地は海底でした。そして、その地層が隆起して、牡蠣や貝殻などの化石が混じった土壌となったのです。
この土壌をキンメリジャン土壌と呼びます。石灰質の土壌で、いまでも化石が見つかることもあるというめずらしい場所なのです。そんな土壌で育つシャルドネのワインは、ミネラルが豊富にあります。
シャブリの格付け
シャブリは、安価なものからお高いものまで、かなり価格の幅があります。それは、格付けによるものです。
シャブリは、フランスワイン法の最上級である「AOC(原産地統制呼称)」に認定されています。そして、それがさらに4つのランクに分類されて、一番上から、「シャブリ グラン・クリュ」「シャブリ プルミエ・クリュ」「シャブリ」「プティ・シャブリ」となっています。
シャブリ グラン・クリュ(特級)
グラン・クリュは、シャブリ村の7区画の特級畑のブドウで造られる最高峰シャブリです。その面積は、シャブリ全体のわずか2%で、非常に希少価値のあるワインといえます。シャブリ村の中でも一番日当たりのいい場所のため、ブドウが熟しやすく、複雑味のある上品なワインが生まれます。白ワインですが、10年以上の熟成を経ることもできる品質となり、熟成するとまろやかで深みのある味わいとなります。
7区画は、ブーグロ、プリューズ、ヴォーデジール、グルヌイユ、ヴァルミュール、レ・クロ、ブランショです。
シャブリ プルミエ・クリュ(一級)
プルミエ・クリュは、特級畑の下のランクの一級畑で造られるシャブリです。グラン・クリュと同様のキンメリジャン土壌で、40のクリマ(区画畑)に分かれています。場所が点在しているため、その土地の気候により味わいが異なり、それぞれのテロワールを生かした魅力を楽しむことができます。
代表的な区画は、フルショーム、モンテ・ド・トネル、モン・ド・ミリュー、ヴォロランです。
シャブリ
一番生産量の多いシャブリワインで、シャブリ全体の約65%を占めます。すっきりとした味わいで、熟成させず、すぐ飲むタイプのフレッシュなワインです。日本で見かけるシャブリはこの「シャブリ」ランクが多く、一番親しまれているシャブリといえるでしょう。お値段も手ごろで、気軽に楽しむことができます。
プティ・シャブリ
一番リーズナブルに飲むことができるシャブリで、「シャブリ」ランクと同様、購入してすぐ飲むフレッシュなタイプのワインです。プティ・シャブリ生産地の大部分は、キンメリジャン土壌ではないため、よりライトで、軽やかな味わいになります。
シャブリに合う料理
牡蠣
「シャブリは生牡蠣に合う!」とよくいわれています。その評判の通り、生牡蠣にとても合います。それは、牡蠣の化石のある土壌で造られたワインだから。また、その昔は、シャブリの強い酸味が牡蠣の生臭さを消してくれたから、ともいわれています。
牡蠣は生でなくても、バター炒めなどでもシャブリとおいしく合わせることができます。
魚介料理
白身魚のムニエルや、スモークサーモン、海老の料理などがシャブリにぴったりです。魚介の旨味とすっきりとしたシャブリが幸せなマリアージュを生み出してくれます。
和食
お刺身、焼き魚、アサリの酒蒸し、天ぷらなど、シャブリは和食とも好相性です。素材の味を生かした和食の味は、さわやかなシャブリとマッチして、料理もワインもすすむこと間違いなしです。
シャブリおすすめ4選
ここでおすすめのシャブリをランクごとにご紹介します。予算で選んでもよし、味わいで選んでもよし、合わせる料理で選んでもよし。多岐に渡るシャブリだからこそ、選ぶワインによって食卓が豊かになります。
ドメーヌ クリスチャン モロー/シャブリ グランクリュ レ クロ
モロー家のワイン造りは、1814年に設立されたネゴシアン「J・モロー・エ・フィス」から始まります。ドメーヌ・クリスチャン・モローは、クリスチャン・モロー氏が2002年に立ち上げたドメーヌです。2008年からビオロジック農法をおこない、シャブリのグラン・クリュのテロワールを表現したワインを造っています。
グラン・クリュ・レ・クロは、しっかりとしたミネラルを感じ、美しいストラクチャーで、まろやかさがあります。奥深かさを感じ、複雑味があり、やわらかさと酸味のバランスが非常によい白ワインです。
メゾン ウィリアム フェーブル/ シャブリ プルミエクリュ フルショーム
ウィリアム・フェーヴルは、1850年に設立されたドメーヌで、1950年に現在の社名でもあるウィリアム・フェーヴル氏がドメーヌを相続しました。シャブリ最大の特級畑所有のドメーヌです。2008年からビオロジック農法を実践し、グラン・クリュとプルミエ・クリュの畑ではビオディナミ農法をおこなっています。
シャブリ・プルミエクリュ・フルショームは、一級畑の中でも特に品質がよく人気のある畑から生まれるワインで、豊かなミネラルとエレガントさが感じられます。
白い花、みずみずしい洋梨や白桃、アーモンドの香りがミネラル感と重なりあい、パワーのあるバランスのいい上品な味わいとなっています。
ビヨー シモン/ シャブリ キュヴェ テット ドール
ドメーヌ・ビヨー・シモンは、1815年から続く名門の造り手です。「シャブリ・ワイン・アワード」でトップに立った実績があるなど、大きな注目を集めているドメーヌで、フランスの星付きレストランの多くも、ビヨー・シモンのワインを取り扱っているほどです。
シャブリ・キュヴェ・テット・ドールは、シトラスなどの柑橘系フルーツの香りと、はっきりとしたミネラルが感じられ、いきいきとした酸味があり、それでいてなめらかです。
ドメーヌ セギノ ボルデ/プティ シャブリ
家族経営のドメーヌ・セギノ・ボルデは、1590年から続く、シャブリ村で最も歴史あるドメーヌのひとつです。
プティ・シャブリは、バーベナの花、レモンの香りがあり、心地よい飲み口で、さわやかな味わいです。
まとめ
ひとことでシャブリといってもさまざまな価格帯、味わいがあります。シーンによって使い分けて、楽しいシャブリ・タイムを楽しんでください。