ドイツワインと聞くと、皆さんはどんなイメージが浮かびますか?
ドイツワインといえば、「リースリング」をまず初めに思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
リースリングとはドイツ原産の白ブドウ品種で、白の2大高貴品種のひとつです。
リースリングは個性的な風味を持つブドウ品種で、熱狂的なファンも非常に多い品種です。ちなみにリースリングは私が一番好きなブドウ品種でもあります!果実の甘みと、キレのある酸味のバランスがとても美味しいですよね。
ドイツワインは甘口の印象を持つ方も少なくないと思いますが、近年ではリースリングから造られる高品質な辛口ワインも人気を博しています。
今回は辛口から極甘口まで楽しめる、魅力たっぷりのドイツのリースリングワインについてご紹介します。
リースリングってどんな品種?
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リースリングの香りの特徴
リースリングの代表的なアロマは大きく分けると2種類あります。
ひとつは「白い花」のようにほのかに香るフローラルなアロマ、もうひとつは「石油香(ペトロール)」と呼ばれるリースリング独特の香りです。その他、果実の表現としてよく使われるのは、柑橘類や青リンゴがあります。また、完熟したブドウから造られたリースリングには、はちみつや、パイナップルなどのトロピカルフルーツのアロマも感じることができます。
リースリングの味わいの特徴
リースリングの味わいの特徴としては、シャープで強めの酸味とミネラル風味を持ち、全体的にエレガントな印象があります。リースリングは、ブドウそのもののポテンシャルが非常に高く、辛口タイプだけではなく、やや甘口や極甘口タイプでも高品質なワインを生み出します。リースリングが持つ鋭い酸味を果実の甘みで和らげるために、ドイツなどの寒冷地では辛口だけではなく、やや甘口タイプに仕上げられることもよくあります。
リースリングの長期熟成
リースリングは豊かな酸味を持つため、長期熟成にも向いているブドウ品種です。
さらに偉大な畑で良年に造られる貴腐ワインなどの高級甘口ワインは、100年以上の長期熟成をすることもできると言われています。
ドイツのリースリング
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リースリングはフランスのアルザス地方、オーストリア、アメリカなど、世界中の様々な国や地域で栽培されていますが、ドイツはリースリングの原産国でもあり、世界の中でも最も有名なリースリングの栽培地のひとつです。
ドイツのワイン法:
ドイツでは、収穫時のブドウの糖度によってワインを等級分けしています。そのため、ラベルに表記された下記の用語からワインの辛口度を判断することができます。
<極甘口>
- トロッケンベーレンアウスレーゼ
- アイスヴァイン
- ベーレンアウスレーゼ
<甘口~やや甘口>
- アウスレーゼ
- シュペートレーゼ
<やや辛口>
- カビネット
- ハルプトロッケン
<辛口>
- トロッケン
また、トロッケンベーレンアウスレーゼからカビネットまでの6種は、「プレデカット」と呼ばれる、ドイツワインの中でも最上級ワインに格付けされています。
用語が長くて覚えにくいのが難点ですが、ぜひワイン選びの際は参考にしてみてください。
ドイツのリースリングの主な生産地
「ラインガウ」と「モーゼル」がドイツワインの2大銘醸地と呼ばれています。また「ファルツ」もリースリングの主産地としてあげられますが、その他の地域(ラインヘッセン、ナーエ、バーデンなど)でも優れたリースリングが造られています。
リースリングの品種の面白いところは、産地の気候の寒さによって、酸味の量やブドウの残糖度のレベルが変わることです。比較的温暖なファルツやバーデン、フランケンでは、酸味がやや控えめで果実味が豊かになるので、辛口スタイルのリースリングが多く造られています。その一方で、モーゼルのように寒冷な地域では、強い酸とのバランスを取るために、多くの糖分をワインに残して、甘口スタイルに仕上げることが多いです。
ドイツのリースリングの代表的生産者
J.J.Prum (J.J.プリュム)
モーゼル川の中流あたりにあるベルンカステル村にある名門ワイナリーです。
自社畑ではリースリングのみを栽培しています。またモーゼルで最も優良な畑のひとつといわれている「ヴェレーナー・ゾンネンウーア」の畑を約4.5ha所有しており、またプリュム家はこの畑の最大所有者でもあります。その他、グラッヒャー・ヒンメルライヒなどにも畑を所有しています。高樹齢のブドウの木を大切にし、ワインには遅摘みのブドウを使用しています。発酵はステンレスタンクで天然酵母を用いて、低収量でワインの生産を行っています。
カビネット ヨハン ヨゼフ プリュム/グラーハー ヒンメルライヒ リースリング [2018]
ヒンメルライヒとは、「天の王国」を意味しています。グラッハー・ヒンメルライヒの畑から造られるワインは、キビキビとした酸味、砕かれた岩を連想させるようなしっかりとしたミネラル感、柑橘系の果実のアロマとフレーバーが魅力のやや辛口のリースリングです。
カビネット ヨハン ヨゼフ プリュム/ベルンカステラー バドシュトゥーベ リースリング [2018]
ベルンカステラー・バドシュトゥーベの畑は、グラッヒャー・ヒンメルライヒの南端に隣接しています。バドシュトゥーベの畑から採れたブドウからは、フローラルで、繊細でミネラル感のあるワインを生み出します。やや甘口のフルーツな印象のリースリングです。
Kloster Eberbach (クロスター・エーベル・バッハ)
ラインガウにある4つのオルツタイラーゲ(特別単一畑)と呼ばれるドイツ最高の畑のうちのひとつ「シュタインベルグ」を所有する生産者です。クロスター・エーベル・バッハが所有する畑のうち、約85%の畑でリースリングを栽培しています。シュタインベルグ以外にもいくつもの高名な畑を所有しています。古くからの歴史ある生産者ですが、2000年代以降は様々な改革にも取り組んでおり、ワインの品質も向上しています。辛口スタイルのリースリングの生産にも力を入れています。
クロスター エーバーバッハ/リースリング クラシック(SC) [2017]
「クラシック」とはドイツで2000年から導入された上級品質の辛口ワインの格付けで、新たな辛口ドイツワインのイメージを浸透させるために設けられました。クラシックの味わいは、アロマ豊かでバランスの取れた辛口が特徴です。リースリングの品種の魅力を表現したベージックな辛口リースリングワインです。
Robert Weil (ロバート・ヴァイル)
ラインガウのキートリッヒ村にあり、1988年に日本企業のサントリーの資金援助を受けて、品質向上したワイナリーです。自社畑の100%でリースリングを栽培しており、辛口の評価も高く、高品質のトロッケンベーレンアウスレーゼやアイスヴァインを毎年安定的に生産しています。ブドウの収穫はワインのスタイルに合わせて数十回に分けて行い、辛口から極甘口まで幅広いワインを生み出しています。
ロバート ヴァイル/リースリング ゼクト エクストラ ブリュット [2015]
特級畑のグレーフェンベルクの近隣の自社畑のブドウを使用した瓶内二次発酵の辛口スパークリングワインです。リースリングの品種の特徴でもある白い花や白桃のアロマを持ちます。完熟したリースリングを使用することで、果実味に適度な酸味が加わり、繊細な味わいを表現しています。泡立ちはきめ細かく、上品な味わいです。
ロバート ヴァイル/キートリッヒャー リースリング トロッケン [2017]
フラグシップで特級畑のグレーフェンベルクと、1級畑のリースリングのブドウのブレンドで造られる辛口ワインです。グレーフェンベルクの畑から造られるワインはラインガウで最高のワインのひとつに数えられています。果実味と酸味のバランスが非常に良く、繊細でエレガントな味わいです。
ドイツのリースリングは辛口から極甘口まで幅広いスタイルを楽しむことができます。ぜひ自分のお気に入りのリースリングワインを探してみてはいがかでしょうか。