ワインを飲みたいけど、ワインってなんだか難しそう。そんなあなたのために、ワインのマナーについて詳しく解説します。ワインのマナーを知っておくと、ワインをより味わうことができ、料理もますますおいしいものになるでしょう。ぜひワインのマナーを覚えて、楽しい食事の時間を過ごしてください。
前回は、レストランでのワインのマナーを説明しました。第4回は、ワインを注ぐとき、ワインをふるまう側になったときのマナーについてお話しします。
ワインを注ぐときのマナー
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ソムリエがいないカジュアルなレストランでは、自分たちでワインを注ぐことがあります。また、パーティーなどでワインをサーブすることもあるでしょう。そんなときのために、ワインを注ぐときのマナーをおさえておきましょう。
ワインを注ぐ順番
カジュアルなレストランで、自分たちでワインを注ぐ場合は、男性がワインを注ぐようにしましょう。女性がボトルを持ってワインを注ぐのはマナー違反です。順番は、レディーファーストで女性から注いでいきます。女性が複数いる場合は、年上の女性から順に注いでいきます。そして、次に男性です。同じく年功序列で注ぎます。
ワインを注ぐときの注意
ソムリエは、ボトルの底のくぼみに親指を入れ、残りの4本の指でボトルを支えてワインを注ぎますが、それを真似する必要はありません。慣れない持ちかたをすると、ワインをこぼしたり、ボトルを落としてしまう可能性があります。片手で持ちにくい場合は、両手でもかまいません。しっかりとボトルを持ちましょう。ボトルを持つときはラベルが見えるように持ちます。
ワインを注ぐときは、グラスにボトルが当たらないようにします。
そして、グラスになみなみとワインを注がないことです。ワイングラスはワインの香りをとどめておく役割があります。たくさんワインを注いでしまうと香りがグラスの中にとどまることができなくなってしまいます。また、香りを開かせるためにグラスを回すスワリングもやりにくくなります。ボウルの一番ふくらんでいる部分の少し下あたりを目安にしましょう。グラス全体の3分の1から4分の1の量くらいになります。
ワインはデリケートな飲みものです。注ぐときは、勢いよく注ぐのではなく、ゆっくり注ぎます。そうすることで、ワインが飛び散ったり、入れすぎたりすることも防ぐことができます。
複数の人のワインを注ぐときは、だいたい同じくらいの量になるようにしましょう。
紙や布のナプキンなどをボトルにそえると、液だれしたときにふくことができますので、便利でスマートです。ナプキンがない場合、少しボトルをひねるように持ち上げると、液だれしにくくなります。液だれでラベルを汚さないようにしましょう。
注ぎ終わったら、ラベルの正面が見えるようにテーブルに置きます。
また、スパークリングワインは、注ぐときに泡がたつため、1度に注ごうとすると、あふれてしまいます。2回にわけて注ぐと上手に注ぐことができます。スパークリングワインの場合は、グラスの3分の2くらいの量を入れます。
ワインを注ぎ足すときのマナー
ワインを注ぎ足すタイミングは、グラスが空になってからでも、グラスに少しワインが残っている状態でもかまいません。イギリスではグラスが空になってから、フランスでは空になる少し前にワインを注ぎ足します。日本では、どちらでも問題ありません。
ただし、ワインを注ぎ足すときは、少々注意が必要です。ワインは空気に触れることによって香りと味が変化しますので、グラスに少しワインを残しておいて楽しむ人もいます。変化を楽しみながら飲んでいるグラスにワインを足してしまうと、不快に思われてしまうときがあります。一声かけてから注ぎ足しましょう。
グラスの基本
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ワインを注ぐグラスは、実はとても重要です。パーティーなどでワイングラスを用意しなければならない場合、どのようなグラスを選べばよいのでしょうか。
スパークリングワインは、フルート型の細長いグラスが適しています。シャンパーニュなど香りを楽しみたい場合、少しふくらみがあるチューリップ型のグラスだと香りが湧きたちます。
白ワインは、口をつける部分(リム)が少しすぼまった中庸な形と大きさのグラスが最適です。あまり大きいと、白ワインのデリケートな香りが飛んでしまいますし、温度が上がりやすくなります。
赤ワインには、ボルドー型とブルゴーニュ型のグラスが一般的です。ボルドー型は、少し大きめで縦長のグラスです。その名の通り、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローのワインに適しています。一方、ブルゴーニュ型は、ボウルの部分により丸みがあります。ブルゴーニュのピノ・ノワールのような、芳醇の香りがあるワインの香りを引きたててくれます。
ワインの温度
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ワインに適したグラスを用意しても、ワインの温度が適温でないと台無しです。ホームパーティーなどおもてなしの際は、ワインの温度に注意しましょう。
ワインの温度が低いと、酸味がより感じられ、フレッシュですっきりと感じられます。温度が高いと、渋みがまろやかになり、甘みが増します。また、温度が高いほうが、香りがより感じられるようになります。
スパークリングワインの適温は6~8度、白ワインは10度前後、ライトボディの赤ワインは12~14度、フルボディの赤ワインは16~20度です。
「白ワインは冷やして、赤ワインは常温で」とよくいわれますが、夏の暑いときや、冬の暖房のきいた室内では適温より温度が高いことがあります。室温が高いときは、赤ワインでも少し冷蔵庫で冷やしてからふるまいましょう。
ホームパーティーなどで、スパークリングワインや白ワインを冷やし忘れたら、氷水を入れたワインクーラーにワインボトルを入れて冷やすと、冷蔵庫に入れるより早く、20分くらいで冷やすことができます。そのときに、大さじ1杯程度の塩を入れ塩水にすると、氷点が下がり、さらに早く15分くらいでワインを冷やすことができます。
冷凍庫に入れると、忘れてしまった場合、瓶が破損する危険があります。特にスパークリングワインは破裂する可能性がありますので、冷凍庫には入れないようにしましょう。どうしても入れたい場合は、タイマーを15分にセットしておくなど、忘れない工夫をするとよいでしょう。
ワインの保管のしかた
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グラスとサービス温度が完璧でも、ふるまうワインが正常でなくてはいけません。パーティーやレストランにワインを持っていくとき、ホームパーティーなどワインをサーブするときのために、ワインの保管方法をおさえておきましょう。
ワインを保管する場所は、以下の点に注意しなければなりません。
・振動がない
・光が当たらない
・温度が一定で涼しい
・強いにおいのない場所
冷蔵庫は、振動があり、食品のにおいがつく可能性があるため、長期間の保存には適していません。
押し入れは光もあたらず、ワインが保管できると思われがちですが、夏は温度が高くなってしまいます。30度を超えるとワインは劣化してしまいます。ワインの保管の適温は15度前後です。
ワインセラーで保管するのが理想的ですが、高額なこともあり、置く場所がないというかたもいるでしょう。そのようなかたは、床下収納など家の中でもっとも適切な場所を見つけるとか、夏の暑いときだけ冷蔵庫の野菜室に入れておくなどもひとつの方法です。
まとめ
ワインを注ぐ側になった際、ワインでおもてなしをするときにも、慣れてしまえば難しいことはありません。次回は最終回、イベントの際のワインのマナーです。