メディテーションワインで心を豊かに

メディテーションワインで心を豊かに

「メディテーションワイン」をご存知ですか?メディテーションワインとは、イタリアで生まれた言葉で、食事とは独立して「ワインのみ」を「ゆっくりと」味わうことのできるワインのことをいいます。今回は、メディテーションワインについてお話しします。

メディテーションワインとは

「メディテーションワイン」とは、世界的権威のあるイタリアのワインガイド『イ・ヴィーニ・ディ・ヴェロネッリ』誌の創刊者ルイジ・ヴェロネッリ(1926~2004)が、1970年代に定義したものです。

イタリアでは、ワインは常に食事とともにあるものでした。その常識を破り、ルイジ・ヴェロネッリは「ワインのみを飲む」ことを表明したのです。「偉大なワイン、複雑な香りや味わいのワインは、ワイン単独でも楽しむことができる」という考え方です。夕食後に、ゆっくりと、少しずつワインを味わい、リラックスできるワイン。これがメディテーションワインです。ソファーに座り、暖炉の前で飲む、ともいわれています。イタリアでは暖炉の前がリラックスできる究極の場所とされているためですが、くつろぐことができる場所ならどこでもかまいません。シチュエーションを頭に浮かべていただけたでしょうか?

では、メディテーションワインとは、どんなワインのことをいうのでしょうか。

ルイジ・ヴェロネッリは、デザートワインなどの甘口ワインを意図してたようです。高級な甘口ワインは、華やかな芳香と、ふくよかでまろやかな味わいがあるためです。その後、メディテーションワインは広義なものになり、偉大な赤ワインもメディテーションワインと呼ばれるようになりました。

複雑味のあるワインは、いろいろな香りを感じとることができ、深く息を吸うことでワインのアロマが体全体に広がります。そして、味わいの余韻が長く続くことで、時間をかけて、ゆっくりと飲むことができます。ワインの風味が体のすみずみまで行き渡るイメージです。そうすると、心も体もリラックスし、マインドフルになります。

瞑想をするときにアルコールはご法度というかたもいらっしゃるでしょう。メディテーションワインは、ワインを飲みながら瞑想するわけではありません。ゆっくりとした時間と空間を設け、ワインと向き合い、ワインを少しずつ味わうこと、それが目的です。

また、食事をしながらワインを飲むことを否定しているわけではありません。食事をするときももちろんワインを楽しむことができますし、料理とワインのペアリングはワインにとって非常に大切な要素です。メディテーションワインになるワインを食事とともに味わってももちろんよいわけです。

メディテーションワインの楽しみ方

メディテーションワインは、複雑味のあるものが該当するため、それなりのお値段となります。夜、部屋の照明をソフトにして、ソファーなどでくつろぎながら、大きめのグラスでゆっくりと飲みましょう。

お気に入りの音楽をBGMにするのもよいでしょう。

大人数ではなく、少人数で静かにワインを嗜みます。香りや味わいについて、感じたことを語り合うことができるとなおよいでしょう。

忙しかった日、疲れた日も、ワインと向き合うことで、マインドフルに幸せなひとときを過ごすことができます。

メディテーションワインのおすすめ3選

アヴィニョネージ / ヴィンサント・ディ・モンテプルチアーノ

アヴィニョネージ ヴィンサント ディ モンテプルチアーノ 375ml・白 極甘

メディテーションワインの名にふさわしい甘口ワイン「アヴィニョネージのヴィンサント」。アヴィニョネージは、イタリア、トスカーナ州のモンテプルチアーノにあるワイナリーです。14世紀フランスのアヴィニョンからイタリアへ移住した貴族のアヴィニョネージ一族の名前に由来しています。2009年からはベルギー出身の実業家ヴァージニー・サヴェリス氏の経営となっています。

このヴィンサント・ディ・モンテプルチアーノは、収穫後のブドウを陰干しし、圧搾した後、50リットルの小樽に移し、10年間熟成させた甘口ワインです。琥珀色で、シロップのようなとろっとしたテクスチャー。カラメルやダークチョコレートのアロマは凝縮感があります。アカシアのハチミツ、タイム、ナツメグ、オレンジピール、バタークッキーの香りが重なり合います。口の中では、イチジク、アーモンド、オレンジジャム、トーストしたコーヒー豆が感じられます。甘さと酸味のバランスが完璧で、その余韻は驚くほど長いものです。

アヴィニョネージ現地でのテイスティングでは、ブランデーグラスのような丸い大きめのグラスに少量のヴィンサントを注いで、グラスを横にしてテーブルの上をころがします。すると、グラスの内側にワインが吸い付つくように密着し、グラスを元通りに立てるとグラス全体から妖艶な芳香が立ちのぼります。香りだけで夢を見させてくれ、味わうと極上の世界が広がります。

抜栓しても、冷蔵庫で保存すれば、1か月くらいはもちますので、少量を何度も楽しむことができます。

ロシニョール・トラペ / ジュヴレ・シャンベルタン プティト・シャペル

ナポレオンが愛したということで有名な「シャンベルタン」。フランス、ブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタン村で造られる赤ワインです。その村は、「黄金の丘」を意味する「コート・ドール」県に位置し、そこで造られるジュヴレ・シャンベルタンのワインは、しっかりとした酸とミネラル、タンニンがあり、荘厳な味わいです。ジュヴレ・シャンベルタンには、グラン・クリュとプルミエ・クリュがありますが、今回はプルミエ・クリュから1本をピックアップします。

ロシニョール・トラペは、16世紀からワイン造りを続けている名門トラペ家のドメーヌです。ジュヴレ・シャンベルタンでも名高い区画のルイ・トラペの相続により分割され、1990年に誕生しました。ロシニョール・トラペは、徹底したビオロジック農法でブドウ栽培をおこない、一部はビオディナミも取り入れています。高樹齢のブドウから丁寧に作られるワインは、自然の力を感じさせる深みがあります。

ワインの名前になっているプティト・シャペルは、小さな教会という意味の区画です。このワインは、フランボワーズなどの赤い果実の香り、シナモンやクローブのようなスパイス香が広がり、味わいは凝縮感のある果実味と豊かなミネラル、なめらかなタンニンが感じられます。優雅で力強いこのワインは、熟成するとビロードのような口当たりになるでしょう。

ピエール・モレ / ムルソー プルミエ・クリュ ペリエール

芳醇な白ワインは、メディテーションワインとしても楽しむことができます。ムルソーは、ブルゴーニュ地方の銘醸地です。そこで造られるワインのなかでも、プルミエ・クリュは、豊富なミネラルがあり、ふくよかでエレガントな味わい。プルミエ・クリュで人気の区画であるペリエールのワインをご紹介します。

ピエール・モレは、ピエール・モレ氏により設立されたドメーヌです。彼は、世界最高峰の白ワインともいわれているモンラッシェの偉大なドメーヌであるルフレーヴの醸造長を20年つとめていた人物。すべての畑でビオディナミ農法をおこなっています。

このワインは、柑橘系のフルーツや洋梨などの果実の香り、火打ち石とスパイスのニュアンスもあります。美しい酸と豊潤なミネラルが感じられ、エレガントで優美な味わいです。

まとめ

1日の終わりに、ゆっくりとグラスをかたむけ、色と香りと味わいを深く感じ、リラックスさせてくれるメディテーションワイン。ぜひマインドフルにワインを楽しんでみましょう。すばらしいワインが、あなたの心を豊かにしてくれるでしょう。

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