唯一無二の気品と、圧倒的な知名度を誇る「シャンパーニュ」。
おそらくワインラバーで、シャンパーニュの名前を聞いたことがないという人はいないでしょう。
そして多くの人が、実際に飲んだこともあるはずです。
とはいえ、シャンパーニュの特徴やラインナップ、製法などについて詳しく知っている人はさほど多くありません。
また初心者の人は、「シャンパーニュという名前以外は、何もわからない」かもしれません。
本記事ではシャンパーニュの特徴やラインナップなどについて、詳しく解説します。
そもそもシャンパーニュとは? スパークリングワインとの違い
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<シャンパーニュの基本情報>
産地 | フランス・シャンパーニュ地方 |
タイプ | スパークリングワイン |
価格 | 3,000円~1,000,000円以上 |
主なぶどうの品種 | ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ |
シャンパーニュというと、「価格が高い」と連想する人も多いでしょう。
しかし実はリーズナブルなシャンパーニュもあり、だいたい3,000円台から楽しむことが可能です。
一方で、イメージどおりの高級シャンパーニュも存在します。
中でも有名なのは、「アルマンド黒」と呼ばれるシャンパーニュ。
なんと提供される場所によっては、1本50万円から100万円の値段が付けられる超高級ワインです。
ナイトクラブで「シャンパンタワー」というものがありますが、トータルで1回100万円以上かかることもあります。
アルマンド黒でやろうものなら、おそらく500万円近くになるでしょう。
ちなみに「シャンパーニュ」と「スパークリングワイン」が混同されることもありますが、これは誤りです。
「スパークリングワイン」というジャンルの中に、「シャンパーニュ」という名前のワインが存在します。
そしてシャンパーニュとその他スパークリングワインを比較すると、製法の違いがはっきりと見えてきます。
基本的にスパークリングワインの作り方はシンプルです。
- 特別なタンクを利用して、比較的短い間発酵させる「シャルマ」という方式
- ワインに二酸化炭素を注ぎ込んで、スパークリングさせる
廉価なスパークリングワインの大半は、たいてい後者で作られています。
コーラやサイダーの製法と大差ありません。
しかしシャンパーニュは、「シャンパーニュ方式」という特別な製法でしか作られないワインです。
後ほど解説しますがシャンパーニュ方式は、とにかく手間がかかる製法です。
しかしこのシャンパーニュ方式にこそ、シャンパーニュの魅力の源泉があります。
シャンパーニュの味わい
シャンパーニュといえば、やはり「スパークリングワインならではの爽快感」が魅力です。
そして立ち上がる泡はきめが細かく、極上のなめらかさをもたらします。
香りには気品と優美さがただよい、とてもリッチな気分へといざなってくれるでしょう。
また、透き通るような柑橘系の風味と、強力な果実感も備えています。
そして目が覚めるようなはっきりとした辛口で、味わい全体が引き締まっています。
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というようにいずれの面から考えても、シャンパーニュが極上品であることは疑いようもありません。
ただしシャンパーニュの味わいは、銘柄によって異なるものです。
極端な話、「甘口」のシャンパーニュも出回っています。
いろいろと飲み比べて、お気に入りのシャンパーニュを見つけるのもよいでしょう。
シャンパーニュの産地
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シャンパーニュは、同名の「シャンパーニュ地方」で作られています。
シャンパーニュは、ワインの産地としてはフランス最北に位置する地域です。
かの「大聖堂」があることでも有名。
気温から考えればシャンパーニュ地方は、「ぶどうを栽培できるギリギリの環境」。
しかしこの環境こそが、シャンパーニュ作りには欠かせません。
あえて悪条件にさらすことで、ぶどうたちは鮮やかな酸味を持つようになります。
そしてシャンパーニュ地方の土壌は、冷涼な石灰岩を多分に含んだ特殊なものです。
これらの特殊な環境が、「シャンパーニュ」ならではの魅力を作り出します。
ちなみに「シャンパーニュ」の名前が与えられるのは、シャンパーニュ地方で作られたものだけ。
同時にシャンパーニュを名乗るためには、厳しい基準が設けられています。
製法やぶどうの品種といったルールを守っていなければ、それはシャンパーニュとして扱われません。
シャンパーニュを作るための、スペシャルな製法
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シャンパーニュは、他のワインとは一味違った、特別な製法で作られています。
まずシャンパーニュ用のぶどうたちを収穫するために許される手法は、「手摘み」のみ。
これはぶどうたちを傷付けず、完璧な状態で収穫するために貫かれているポリシーです。
収穫されたぶどうたちは、圧搾されて、タンクやオークバレルにて発酵されます。
そして発酵したぶどうの果汁を、実際に飲んでチェック。
そこから緻密なブレンドによって、味わいが整えられます。
そしてベストなブレンドが確定すれば、瓶詰めされるというわけです。
シャンパーニュの場合、次に「瓶内二次発酵」という工程が加わります。
まずは発酵をうながすため、なんとワインに「シロップ」を追加。
そして瓶内において15ヶ月以上の間、熟成されるというわけです。
ちなみに「15ヶ月」とは、生産者が定める目安ではありません。
「シャンパーニュは15ヶ月以上、瓶内二次発酵しなければいけない」という”法律”が存在するのです。
さらに「ヴィンテージ」を名乗るのであれば、なんと3年以上ものあいだ、瓶内二次発酵で熟成させる必要があります。
つまり今ごろ瓶に詰め込まれた果汁が市場で脚光を浴びるのは、少なくとも3年後というわけです。
瓶に入れて発酵させると言えども、そのまま放置していては、シャンパーニュは生産できません。
瓶内二次発酵が進められている間、
- 横に寝かせる
- 瓶を少しだけ回転させ続ける
- 温度調節して、発酵がうまくいくようにサポートする
というように、逐一手間をかけます。
こういった手間があることで、独特の、シルクのような気品あるスパークリングワインへと変化を遂げるわけです。
仕上げにはふたたびシロップとリキュールを追加。
ちなみにこのリキュールは、いわゆる「門外不出」であるとのこと。
製造の手間もさることながら、コストだってかかっています。
そもそも瓶内二次発行をするためには、最低15ヶ月はシャンパーニュたち専用の場所が必要です。
そして15ヶ月もの間、シャンパーニュたちを育てる人たちへ支払う人件費もかかります。
もちろん使われているぶどうも最高級。
そしてぶどう栽培にも、たいへんな費用がかけられています。
まりシャンパーニュを作るコストは、非常に大きなものだというわけです。
シャンパーニュの値段が高いのは、こういった贅沢な製法が背景にあります。
シャンパーニュとシャンパンの違い
シャンパーニュとシャンパンの意味に違いはありません。
どちらも同じワインのことを指しています。
日本では「シャンペン」などと発音されることもありますが、やはりこれも同じ意味合いです。
さまざまなシャンパーニュ、おすすめはどれ?
長い歴史を持つシャンパーニュには、さまざまなバリエーションが存在します。
冒頭で紹介した「アルマンド黒」のように恐ろしく高級なものもあれば、庶民でも気軽に試せるものも。
とはいえシャンパーニュは、現在ではさまざまな銘柄のものが流通しています。
「どれを選べばいいかわからない」、という人も多いでしょう。
下記では、絶対に失敗しないシャンパーニュについて紹介します。
ベル エポック/ ペリエ ジュエ ルミナス [2008]
価格 | 24,950円 |
容量 | ブトゥイユ(750ml) |
生産者 | ペリエ・ジュエ |
品種 | シャルドネ100% |
ベル・エポックは、強い果実味と繊細な味の作りを体現した一本。
口当たりがやさしく、初心者にも楽しみやすい1本です。
リンデンバウムを連想させる華やかな香りは、ひときわスペシャルな気分を盛り上げてくれます。
シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド/ ブラン・ド・ブラン
価格 | 8,200円 |
容量 | ブトゥイユ(750ml) |
生産者 | ロスチャイルド |
品種 | シャルドネ100% |
名門ワイナリー、ロスチャイルド家の名を背負った誇り高きシャンパーニュです。
きめ細やかなスパークリングが口の中で弾け続け、素晴らしい爽快感がもたらされます。
あざやかな果実感と芳醇さがバランスよく融合し、飲みやすくもリッチな仕上がりです。
金色に輝く色合いが美しく、見た目にも楽しい仕上がり。
シャンパーニュに合わせる料理
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シャンパーニュは、「ほとんどの料理に合う」と言われています。
本来であればオーソドックス赤ワインが組み合わせられるであろう、牛肉に合わせられることも。
とにかくシャンパーニュは料理を選ぶことがなく、いつでも食卓へ招く機会があるものです。
そのような背景から、「食事の最初から最後までを、シャンパーニュで通すのだ」という美学も語られるほど。
とはいえ、「どんなにも合うわけがない」と、疑ってしまう人も多いでしょう。
心配なら、「白ワインと合うもの」と合わせておけば問題ありません。
一例を挙げれば、
- チーズ
- オリーブ
- 生ハム
- フライドポテト
- ピクルス
- サンドイッチ
- サーモン
などがおすすめ。
上記のものであれば、間違いなく素晴らしい相性を発揮してくれます。
手の込んだものであれば「鮭のムニエル」や「ホワイトグラタン」といったものと合わせるのもよいでしょう。
まとめ
シャンパーニュという名前は、誰しもが知っているでしょう。
そしてシャンパーニュは、想像以上のクオリティ、そしてそれを実現する洗練された製法で作られた背景を持っています。
どんなワインにも真似できない特徴をそなえたシャンパーニュは、今も多くのワインラバーから熱視線が浴びせられているのです。
決して高いものでなくてもよいので、一度はシャンパーニュを飲んでみてください。