情熱の国スペイン。北はフランス、西はポルトガルと隣接しています。ワインの生産量はイタリア、フランスに次ぎ世界第3位!南ヨーロッパ・イベリア半島のブドウ栽培に適した豊かな土壌で、たくさんのワインが造られています。
スペインといえば、やっぱり赤ワイン!ですが、比較的涼しい地域では白ワイン、カバなどスパークリングワイン、シェリーなどの酒精強化ワインなど様々なタイプが製造されています。そのスタイルの豊富さもスペインワインの魅力の一つです。
今回は、そんなスペインワインについて。ぶどうの種類や地域ごとの特徴、おすすめのワインなどを紹介していきます。
スペインワインのラベルの読み方
スペインワインを選ぶときに注目したいラベル。スペインのワインの多くは「産地」「熟成度」「ぶどうの品種」が記載されています。
ぶどうの品種で選ぶ
スペインでブドウの栽培がはじまったのは紀元前1100年頃。ワイン造りはフェニキア人や古代ギリシア人によって伝えられ、紀元前5世紀にはスペイン東部に広まっていたと言われています。
スペインには400種を超えるブドウが植えられてますが、ほとんどのワインは20種のブドウから生産されています。いくつか代表的な品種を紹介します。
赤ワインのブドウ
テンプラニーリョ
テンプラニーリョはスペインで最も有名な赤ワイン用ブドウです。Tinto Fino、Tinto de Toro、Cencibel、Ull de Llebre、Tinto delPais などと表示されます。
テンプラニーリョで最も有名な2つの地域は、リオハとリベラデルドゥエロです。
テンプラニーリョはフレッシュでフルーティな味わいが魅力ですが、オーク樽で熟成すると香り豊かな複雑さが出ます。
ガルナチャ
フランスでグルナッシュとして知られているガルナチャですが、起源はスペインです。今日では、世界中のほぼすべてのワイン生産国で栽培されています。温暖な気候で育ち、スペインでは特に中央北部で多く栽培されています。ロゼによく使われる品種ですが、プリオラートとリオハではブレンドの一部として使用されます。
ラズベリーが香る、フルーティーなワインを生み出します。
カリニャン
スペイン東部の町「カリニャン」起源の品種です。現在、ブドウにちなんで名付けられた独自のDOもあります。フランスの南部、ラングドック・ルシヨンやプロヴァンス、ローヌ地方でも多く栽培されています。
ピリッとして高アルコール、スパイシーさやしっかりとしたタンニンを産み出す黒ブドウです。
白ワインのブドウ
アルバリーニョ
イベリア半島の北西部、海の近くで栽培されています。ソーヴィニヨンブランなど、ドライでフレッシュな白ワインが好きな方におすすめです。ポルトガルでも栽培されていて、単一品種で高い酸味のヴィーニョヴェルデワインが作られています。
リッチな果実味と、華やかな香りが特徴。酸味と共に、豊富なグリセリンからシルキーなクリーミーさも生み出します。
ベルデホ
ルエダで育つ「ベルデホ」はフルーティーで若いホワイトワインに使用されます。柑橘類とメロンのノートがあり、トロピカルな特徴を持つ香り豊かな白ワインを作ります。
酸味と苦味のある後味を持っているので、ソーヴィニヨンブランやビウラにコクを加えるためにブレンドされることもあります。
若いうちに飲まれることの多いワインですが、オーク樽で熟成させたものもあります。
チヤレッロ
カタルーニャ原産のブドウ品種。カヴァの主要ブドウとして有名です。
そのブレーシングやレモンのような酸味、フルーティなフレーバーが高く評価されています。しっかり冷やして、暑い夏の日に楽しむのに最適です。
地域やDOで選ぶ
スペインワインの中でも「DO」として承認されたワインは、「品質が保証されたワイン」です。ラベルに記された地域で生産され、ワイン製造プロセスを規制委員会によって管理されています。
その中でも高品質かつ高貴なワインは「DOCa」と格付けされています。この「DOCa」に属するワインはたった2つだけ。プリオラートとリオハです。
カタルーニャ州のワインにはカタルーニャ語が用いられることもあるので、プリオラートはDOCaではなくDOQとも呼ばれます。
さらに、すべてのスペイン産ワインは、欧州委員会規則に従って、クオリティワイン(DOP)と、テーブルワイン(IGP)に区分されています。
熟成期間で選ぶ
スペインワインには、熟成年数別の格付けもあります。DO以上のワインはすべてのラベルにこの分類が表記されています。こちらもワイン選びの参考になりそうですよね。
Crianza(クリアンサ)
赤ワイン 最低2年の熟成
白・ロゼワイン 最低1年半の熟成
(カヴァにはクリアンサの基準なし)
Reserva(レゼルバ)
赤ワイン 最低3年の熟成
白・ロゼワイン 最低2年の熟成
カヴァ 15ヶ月以上の熟成
Gran Reserva(グラン・レゼルバ)
赤ワイン 最低5年の熟成
白・ロゼワイン 最低4年の熟成
カヴァ 30ヶ月以上の熟成
スペインワインの代表的な地域
リオハ地方
「リオハ」はスペインで初めてDOCaの指定を受けた地域です。リオハで造られるワインの75%は赤ワイン。テンプラニーリョを主体として、さまざまなブドウ品種がブレンドされています。フルーティーで飲みやすく、様々な料理と相性が良いリオハワイン。詩人ヘミングウェイもリオハワインの大ファンだったそうです!
カタルーニャ地方
地中海に面するカタルーニャ地方は古くからのワインの銘醸地として知られています。
カタルーニャ地方のワインといえば、ペネデス品種で造られる発泡ワイン「カヴァ」とDOCaである「プリオラート」です。
スペインの最高級「DOCa」ワインはリオハとプリオラートの2つだけ。プリオラートでは、伝統的な品種は黒ブドウのガルナッチャにカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シラーなどの外来品種をブレンドした赤ワインが人気を集めています。
バスク地方
スペイン北部、大西洋のビスケー湾に面しているバスク地方。アルコール度数が低く酸味が強い、微発泡ワイン「チャコリ」が造られています。チャコリはバスク料理「ピンチョス」と一緒に気軽に楽しみたいワインです。
ラマンチャ地方
スペイン最大のDO認定面積を誇る、中央部にあるラ・マンチャ地方。
広大なブドウ畑で安価な白ワインを生産する地域として知られていましたが、近年はバルデペーニャス (DO)を中心として、良質なワインが増えています。
以前はアイレン種の白ワインの生産が中心でしたが、1990年代後半から急速に黒ブドウ品種への転換が進み、現在は生産の2/3が赤ワインです。
アンダルシア地方
スペイン南部にあり、地中海の穏やかな気候をもつアンダルシア。西南部のヘレス・デ・ラ・フロンテーラ周辺では、パロミノ種を中心とする白ブドウから造られる強化ワイン「シェリー」の生産で有名です。
ヘレス産のワインはイギリス文学に度々登場します。シェイクスピア作品にもっとも多く登場する酒もヘレス産ワインです。
個性豊かなスペインワインを気軽に楽しんで
気軽で賑やかなバーが立ち並び、友人たちとハシゴ酒。そんなスペイン人のワインの楽しみ方は、日本の「居酒屋」の雰囲気にもなんだか似ていますよね。
お手頃価格で気軽に色々試せるのもスペインワインの魅力です。 パエリヤやスパニッシュオムレツ、ハムにピンチョス。美味しいスペイン料理に合わせて、個性豊かな様々なスタイルのスペインワインを楽しんでみてください!