「濁りワイン」って何?ペットナットとの違いと澱(おり)が生む旨みをやさしく解説|自然派ワインの新常識

「濁りワイン」って何?ペットナットとの違いと澱(おり)が生む旨みをやさしく解説|自然派ワインの新常識

こんにちは、ワインネーション編集部です!🍷

「あれ、このワイン、濁ってる…?」
グラスに注いだ瞬間、そんなふうに思ったことはありませんか?

じつは今、その濁ったワインが世界中で注目を集めています。2026年、イギリスの大手スーパーが濁ったままのロゼワインを店頭に並べたことがニュースになりました。日本でも自然派ワインの広がりとともに、ペットナットやノンフィルターという言葉を耳にする機会が増えています。

今回は、そんな「濁りワイン」の正体を、ワイン初心者の方にもわかるようにやさしく解説します。読み終わるころには、濁りが欠点ではなく魅力に見えてくるはずです✨

夕暮れのブドウ畑と濁りワイン特集のアイキャッチ画像
夕暮れのブドウ畑。濁りワインの魅力は、畑と醸造の現場にこそ宿っています。

濁りワインとは?濁りの正体は「澱(おり)」

濁りワインとは、その名のとおり液体が透明でなく、わずかに濁って見えるワインのことです。この濁りの正体は、ずばり澱(おり)。日本語では「澱」と書きますが、これは発酵を終えた酵母(こうぼ)や、ブドウ由来の微細な成分が液体中に浮かんでいる状態を指します。

ワインは、ブドウの果汁に含まれる糖を酵母が食べてアルコールに変えることで生まれます。発酵が終わると、役目を終えた酵母は死んで少しずつ重くなり、タンクや瓶の底へ沈んでいきます。それが澱です。

収穫された白ブドウの房と収穫用バケツ
手摘みで収穫された白ブドウ。この果実の表面にいる酵母が、のちに「澱」になります。

🍇 澱は捨てるもの?それとも旨みの源?

ここが、濁りワインを理解する最大のポイントです。

一般的なワインは、この澱をきれいに取り除いてから瓶詰めされます。透明でクリアな見た目は、長いあいだ「上質なワインの証」とされてきました。

しかし、澱を取り除かずにそのまま一緒に寝かせると、酵母の成分がワインに溶け出し、コク・厚み・複雑な旨みが生まれます。これが、濁りワインが愛される理由のひとつです。フランス語で「澱の上で(シュール・リー)」という熟成方法があることからも、澱がプラスの要素として扱われてきた歴史がわかります。

ペットナット(ペティアン・ナチュレル)とは?

濁りワインを語るうえで欠かせないのが、ペットナットです。正式にはペティアン・ナチュレル(Pétillant Naturel)。日本語では「自然発泡酒」と訳されることもあります。

作り方はシンプルです。ワインの発酵がまだ終わっていない段階で瓶詰めします。瓶の中で発酵が続き、そのときに生まれる炭酸ガスが泡になります。つまり、泡は後から瓶の中で自然に生まれたものなのです。

このとき、発酵を終えた酵母は瓶の底に沈みます。多くのペットナットはデゴルジュマン(澱抜き)を行いません。だから濁って見える。これが、ペットナット=濁りワインというイメージにつながっています。

ステンレスタンクに投入される黒ブドウの醸造風景
発酵が始まる瞬間。酵母の働きが、ワインの表情と濁りを決めます。

🍾 コルフォンドとの違いも知っておこう

似た存在にコルフォンド(Col Fondo)があります。これは瓶内二次発酵させたプロセッコで、やはり澱を抜かずに瓶詰めしたもの。プロセッコ特有の甘さが苦手な方にも、すっきりとした辛口の泡として楽しめるタイプです。

  • ペットナット:発酵途中で瓶詰め。1回の発酵で泡が生まれる「祖父母の方法」
  • コルフォンド:一度発酵させたワインに糖を加えて瓶内で再発酵。イタリア・プロセッコの伝統製法
  • 一般的なスパークリング:瓶内やタンクで二次発酵させ、澱を抜いて仕上げる

「濁っている=ノンフィルター」とは限らない?

ここは少し専門的なお話ですが、知っておくとワイン選びがぐっと楽しくなります。

ワインを透明にする作業は、まとめて清澄化(クラリフィケーション)と呼ばれます。代表的な方法は2つです。

  • ファイニング(清澄剤):タンパク質やタンニンなど濁りの原因になる成分に薬剤を結びつけ、かたまりにして沈める方法
  • フィルタリング(ろ過):ワインをろ過して、浮遊している微粒子を物理的に取り除く方法

また、薬剤もろ過も使わずに、静置して上澄みだけを移し替えるラッキングやセトリングという手法もあります。

つまり、「濁ったワイン=ノンフィルター」とは限らず、「ノンフィルター=濁っている」とも限らないということ。ろ過していても濁りが残ることはありますし、ろ過をしていなくても自然に澄むこともあります。ラベルに書かれた「ノンフィルター」「ノンファイニング」は、あくまで造り手の姿勢を示す言葉として受け取るのがちょうどよいでしょう。

「テクスチャーがあり、肉厚で、まるみのある果実味がある。だから料理の味に負けないんです」

— ロンドンのレストラングループでワイン責任者を務めるザイナブ・マジェリコワ氏の言葉より(The Guardian)

濁りワインがおいしい理由|3つのポイント

  • 食中酒として強い:澱由来の旨みと厚みがあるため、味の濃い料理と合わせても負けません。「飲む料理」と表現されることもあります
  • 果実味がまるい:ろ過の刺激が少ないため、果実味がふくよかに感じられます
  • 同じ味が二度と出会えない:自然な発酵に任せる部分が大きく、年ごと・ロットごとの表情の違いも楽しめます

また、飲む前にボトルを軽く振って澱を混ぜると、香りと旨みがひとつにまとまり、本来の姿が引き出せると言われています。ただし泡は勢いよく出やすいので、開ける前に冷やしておくのが安心です。

まずはこの3本から|タイプ別・濁りワイン入門

「知識はわかったけれど、どれを選べばいいの?」という方のために、当店で扱うペットナットをタイプ別に3本ご用意しました。軽やかな順にご紹介します🍷

1. 軽やかで毎日の食卓に|キンタ ダ ハーザ ハーザ ペット ナット ブランコ

ポルトガル・ヴィーニョ ヴェルデの生産者による白のペットナット。18世紀から続く家族経営で、ヴィーニョ ヴェルデの概念を変える本格派として知られる造り手です。軽快な泡とみずみずしい果実味で、ペットナット入門の1本にぴったりです。

キンタ ダ ハーザ ハーザ ペット ナット ブランコ 2024 白泡 ヴィーニョ ヴェルデ
キンタ ダ ハーザ ハーザ ペット ナット ブランコ[2024]750ml 白泡|¥2,889

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2. 華やかな果実感を楽しむ|トゥティ フルッティ アナナス ペットナット ロピット

南フランス・ルーションの自然派、トゥティ フルッティ アナナスによるロゼのペットナット。メルロー主体にバルベーラをブレンドし、残糖を残した状態で瓶詰めしています。サーモンピンクの色合いと、白桃やスモモ、クランベリーを思わせる香り。ほんのりとした苦みが後口を締め、食前酒にも食中酒にも寄り添ってくれます。

トゥティ フルッティ アナナス ペットナット ロピット 2021 ロゼ泡 ルーション
〇トゥティ フルッティ アナナス ペットナット ロピット[2021]750ml ロゼ泡|¥4,041

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3. 上質な食卓の主役に|ドメーヌ ヴァインバック PCC(ペットナット)

1612年、アルザス地方カイゼルスベルグ地区にカプチン派の修道僧たちが創立した歴史あるドメーヌ。「ワインの小川(Bach)」という意味の名を持ちます。瓶内熟成38ヶ月、ドサージュなし・SO2も添加せずに造られた白のペットナット。白い花、モモやアプリコットの香り、やさしい泡。チーズやエスニック料理とも好相性で、食卓の主役を張れる味わいです。

ドメーヌ ヴァインバック PCC ペットナット 2020 白スパークリング アルザス
ドメーヌ ヴァインバック PCC(ペットナット)[2020]750ml 白|¥4,125

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次回予告|濁りワインの「楽しみ方」編

第1部では、濁りワインとペットナットの基礎知識をお届けしました。

次回の第2部では、いよいよ実践編。開栓前に振るべきか、温度はどうするか、グラスは?そして和食やチーズ、揚げ物とのペアリングまで、濁りワインを120%楽しむコツをご紹介します。お楽しみに🍷

濁りは、手をかけた証拠。
グラスを傾けるたび、畑と酵母の物語を感じることができるでしょう🍷✨

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