至高のコニャック「ポールジロー」とは?流行りのスパークリングも解説

ポールジロー」という、コニャック業界でもっとも強い存在感を放つお酒があります。
世界的に見て高く評価されているもので、日本でもたいへん有名な存在です。

同時に、「かなり特殊で、変わり者なコニャック」としても知られています。
特に製法や生産体制は、通常では考えられない、かなりドラスティックものです。
そして、そのような形で生産されることで、他のコニャックにはない魅力を持っています。

本記事では、ポールジローの特徴や価格、味わいについて解説しています。
また、最近になって注目されている「スパークリングタイプ」について触れているので、参考にしてください。

そもそもポールジローって何?

ポールジローは、フランスのコニャック地方を代表する銘柄です。
あるいは、それを生産している人物とその一家のファーストネームでもあります。

まずは、「コニャックとしてのポールジロー」についておさえておきましょう。
ポールジローは、冒頭で触れたとおりコニャックとしてはもっとも高い評価を受けているものです。
これを超えるコニャックなど、この世には存在しない」とまでコメントする人も。

後述するような「たった一人がすべての生産過程を手作業でおこなう」という手法により、最高品質を維持し続けています。土壌や天候、そしてぶどうの品質にも恵まれており、これといった弱点が見当たりません。

そして、たった一人でポールジローを作っているのが「ポール・”ジャン”・ジロー」という人物なわけです。

1800年代から続くコニャック作りを継承し、一家の歴史を守り抜いています。

ちなみにジャン氏は、「コニャックは、自然の賜物さ。自然に任せて、無茶をさせないことが大切なんだ」ということも述べていました。

この思想・哲学こそが、ポールジローを最高品質のコニャックへと育て上げる”土壌”だと言えるでしょう。

ポールジローの味わい

ポールジローは、果実味に秀でるコニャックです。
そして口当たりはまろやかで、かなり飲みやすい部類に入ります。
甘く上品で、豊満な香りも魅力的。

また、熟成すればするほどまろやかになり、より飲みやすくとっつきやすいキャラクターへ変貌することでも知られています。この辺りは、好みが分かれるところでしょう。

ただしぶどうの出来栄えによって、上下が激しいという側面も。
上振れたときの味わいは非常に優れており、大人から子供、あるいは上級者から初心者まで満足できるはずです。

ポールジローのスパークリングとは、どんなもの?

ポールジローには、コニャックとしては珍しく「スパークリングタイプ」も存在します。
日本ではクリスマスなどで、ポールジローのスパークリングが好まれている様子。

スパークリングのものは、本流のポールジローを作る際に使われるぶどうが使われています。
スパークリングを身にまとったポールジローは、まろやかさとエレガントさを保ちつつ、それでいてフレッシュです。

また、グレープフルーツなどのフレーバーが加えられ、ジュースとしての満足感や濃厚さも持ち合わせています。余韻も長く、そして強く続き、たいへん満足できる仕上がりであると言えるでしょう。

ポールジローの特徴

ポールジローは、特別な存在です。
なぜならポールジローは、「すべての生産工程を、たった一人でこなす」。
いわゆる「プロプリエテール」といる生産体制ですね。
こんなたいへんことをやっているドメーヌは、そうそうありません。

また、ポールジローの生産において、機械はいっさい使われません。
大手ブランドがこぞってオートメーション化をはかる中、昔ながらのやり方で貫かれているのです。
つまり、すべての工程を手作業でこなしています。

手作業だからこそ、たとえば発酵の手順は、じつにていねいです。
多くのドメーヌで使われている、「イースト発酵」を用いません。
頻繁に様子を観察しながら、長い時間かけて発酵が進められていきます。
おそらくポールジローは、ほとんど四六時中、タルに張り付いているのでしょう。

蒸留においても、やはり目を離しません。
ほとんどタルのそばから離れず、「樽へ移すタイミング」を見極めます。
そして樽へ移す作業も、これまた手作業なのです。

あるいはパッケージするまでの流れも、当然ながらすべて手作業
もちろん熟成する場合も、機械は使われていません。

ここまでていねいな工程をこなしているのは、ポールジローくらいのものです。
実際、「夜通し、眠ることなく作業する」というケースもある様子。

「グラビティー・フロー」というように、近年は新しい技術が持ち込まれていますが、手作業に勝るていねいな仕事はありません。
ここまで丹精込めて作られるコニャックが、美味しくないわけがないのです。
一度飲めば、「なぜ手作業での生産にこだわるのか」、その理由がすぐにわかります。

ちなみにポールジローを熟成するボックスは、極端に高湿な設定となっているのが特徴です。
高湿にすることで、アルコールの低減を前倒しさせるのが目的。 
わざわざ高湿にするというのは独特なやり方であり、いかにもポールジローらしいやり方です。
とにかく、あらゆるところでオリジナリティ溢れる方法が取られています。

また、ポールジローが作られている環境が、いわゆる「グランシャンパーニュ」という地域だというのもポイント。
ワインを作る地域は、「AOC」という基準で7段階にランク分けされます。
そして頂点に君臨するのが、「グランシャンパーニュ」というわけです。

ここは、「ワインのためだけに太陽が昇るような場所」と言えます。
恵まれた日当たりと、理想的な土壌。
完璧な環境から、ポールジローは生産されています。

これだけの条件が揃っていて、おいしくないはずもありません。

ポールジローの値段

これだけすぐれたコニャックでありながら、ポールジローの値段はさほど高くはありません。
安いものであれば、6,000円くらいから購入することが可能です。
もっとも高いものでも40,000円程度なので、手に入りやすい部類でしょう。

また、ポールジローは、

● 15年
● 20年
● 25年
● 30年
● 50年

と、熟成させた期間によって異なるラベリングを付与しています。

長時間熟成されたポールジローは、より豊満な熟成感と柔らかな口当たりを持つようになります。
そして、一般的なコニャックとは明らかに世界観が異なる、別次元の香りと旨味を凝縮。
さらに年月を掛けて磨き上げられた”べっこう色”には、何か威厳のようなものが感じられます。
色と香りの素晴らしさから、グラスに注がれただけで、あたりの空気を一変させるかもしれません。

年月が重なれば、当然ながらやや高価にはなりますが、興味があれば試してもらいたいところです。
ただし大量生産されているわけではないため、希少性が高く、なかなか見つからないかもしれません。
ポールジローのスパークリングは、かつて市販されていなかった? 
ポールジローの歴史は、1800年代までさかのぼります。
歴史としてはすでに200年以上の月日を重ねた、古き良き生産者です。
ポールジローは、いわゆるドメーヌではありません。
あくまでも農家としてスタートしていて、今も厳密に言えば農家です。

ポールジローとは、かつては大手のコニャックを仕入れて売る、卸業者でしかありませんでした。
だから「ポールジロー」というコニャックは、当初、市販されていなかったのです。
しかし、「うちでも、コニャックを作れるぞ」と気づいた一家は、コニャック作りに挑戦。
これが大ヒットして、今のような評価を得るに至ります。

しかし、”ポールジロースパークリング”については、長らく市販されていませんでした。
あれだけのクオリティを有しているにもかかわらず、「ポールジローとその家族だけに作られていた」のです。
要は「趣味で作っていて、時々飲んでいた」のが、製品化へ至ったという流れがありました。


ある日、ポールジローの邸宅に一人の来客がありました。
「ジャパンインポートシステム」というワイン輸入会社を経営する日本人、田中克彦氏です。
田中氏が訪れたその日は、非常に暑い日だったそうです。
ジャン氏は、彼に飲み物を振る舞おうとしました。

しかし、仕事中である田中氏に、まさかポールジロー(アルコール有)を提供するわけに行きません。
そこでジャン氏は、「そうだ、コニャックがダメならジュース(のちのスパークリングタイプを出してあげよう」と思いつきます。

そのジュースを飲んだ田中氏は、あまりの美味しさに感激します。
本来は、「コニャックの買い付け」で訪れていた田ですが、「このジュースも、製品として販売させて欲しい」と熱望。
2005年、念願が叶ってポールジロー ・スパークリングが正式に流通し始めます。
これは日本人の趣味嗜好に合致していることから、日本ではポピュラーな存在として定着しました。


あの日、田中氏がジュースを飲んでいなければ(あるいは、もう少し涼しい日だったら)、今頃ポールジロースパークリングは世に出ていなかったかもしれませんね。

ポールジローのおすすめラインナップ

ポールジローの選び方は、とてもシンプルです。
初心者であれば、最新のポールジローを選んでおけば間違いありません。
舌に自信があれば、年季ものを選んでもよいでしょう。

一方で、スパークリングジュースの方も、当然ながら魅力的。
日本では、スパークリングジュースのほうも有名です。
そして、最近は流行の兆しを見せ、幅広く注目されています。

自動販売機で買うような炭酸飲料とは、レベルが2倍も3倍も違います。
果実味が強烈で、香りもコニャックと比べてまったく遜色ありません。
色味も美しく、女性から見てもきわめて魅力的な存在であると言えます。

特に、子供にとっては最高のジュースです。
大人たちがシャンパンを飲むとき、子供に飲ませてあげるのもよいでしょう。

クリスマスによく飲まれるものですが、ちょうどクリスマス直前ですね。
一年に1回だけでも、ポールジロー スパークリングを試してみてもらいたいところです。

まとめ

ポールジローは、一言で言って実にすばらしいコニャックです。
たった一人ですべての生産過程をやり遂げるからこそ、大量生産ではありえない、素晴らしいクオリティに仕上がっています。
したがって生産数は限られてしまいますが、コニャックとしてものすごく手に入れづらい価格帯ではありません。
もっとも高価なヴィンテージでも、100,000円あれば手に入れられる良心的な価格設定です。

クリスマスの季節は、ポールジローのスパークリングジュースをお勧めします。

タチバナイツキ
お酒はワインしか飲まない、レアなタイプの人間。 昔はワインの渋みがダメで飲めなかったですが、今ではすっかりワインに病みつき。 基本的にはロゼワインばっかりを飲んでいます。 本メディアでは、ワインの奥深さをより広くお伝えできるように頑張ります。