オーストリア~音楽の国で造られる魅惑的なワイン~

モーツァルトの国として有名なオーストリアは、中欧にある周囲を7か国に囲まれた小さな国です。世界的に見ると、ワインの生産量はそれほど多くはありませんが、ワイン造りの歴史は長く、オーストリア独自のブドウ品種から造られる特徴的なワインは、クオリティが高く個性的で世界中から注目されています。

また、オーストリアのワインは世界で最もフードフレンドリーなワインのひとつと言われるほど、様々な食事にも合わせやすく、ヨーロッパの料理だけでなく和食にも非常によく合うとして食中酒としても人気があります。

今回は日本人にも親しみやすい、オーストリアワインの個性的なブドウ品種の魅力をご紹介します。

オーストリアワインの特徴

ほとんどが小規模ワイナリー

オーストリアのワイナリーは小規模な家族経営のワイナリーがほとんどで、大規模ワイナリーはあまり存在しません。約9000軒もの小規模ワイナリーが家族代々ワイン造りを行っており、手作業で厳しい収量制限をして高品質なワインを維持しています。それにもかかわらず、世界的に評価の高いワイナリーのワインでも比較的リーズナブルな価格で購入ができるコストパフォーマンスの高さも人気の秘訣です。

オーストリアの主なワイン産地

オーストリアのワイン産地は東部に集中しており、主に4つの地域でワイン造りが行われています。オーストリアの2大ワイン産地は「ニーダーエストライヒ」と「ブルゲンラント」で、この2つの地域でオーストリア全体の約90%を生産しています。

ニーダーエストライヒ州

ニーダーエストライヒ州はオーストリアで一番大きなワイン産地で、オーストリア全体のワイン生産量の半分以上を占めています。グリューナー・ヴェルトリーナーやリースリングなどから造られる透明感あふれる白ワインをはじめとして、エレガントな味わいの赤ワインや貴腐ワインなど、幅広いスタイルのワインが生産されています。

ブルゲンラント州

ブルゲンラント州は、オーストリアの最東のハンガリーとの国境沿いに位置し、オーストリア最古のワインの歴史を持つワイン産地です。オーストリアの赤ワインの中心地としても知られており、ブラウフレンキッシュやツヴァイゲルト主体の赤ワインが多く造られています。また貴腐ワインなど、甘口のデザートワインにも定評があります。

シュタイヤーマルク州

シュタイヤーマルク州はオーストリア南部、スロベニアとイタリアの国境近くにある美しいブドウ畑が広がるワイン産地です。白ワインの生産量が多く、高品質なソーヴィニヨン・ブランやフルボディのシャルドネ、ミネラル感あふれるピノ・ブランなど様々な品種を栽培しています。

ウィーン州

音楽の都として有名なオーストリアの首都ウィーンでも幅広い種類のワインが造られています。「ゲミシュター・サッツ」と呼ばれる、様々なブドウ品種をランダムに混醸して造られるユニークなワインも有名です。また、数多くの「ホイリゲ」と呼ばれるワイン酒場があり、観光客だけでなく地元の常連客もホイリゲでワインと料理を気軽に楽しんでいます。

オーストリアの代表的なブドウ品種

オーストリアは冷涼な気候のワイン産地で、ミネラル感のある辛口の白ワインと、スパイシーな印象の赤ワインを多く生産しています。リースリングやソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールなど国際的に人気のある品種の栽培にも適した産地を持っていますが、オーストリア独自のブドウ品種が特に有名です。

オーストリアワインの代名詞:グリューナー・ヴェルトリーナー

古くからオーストリアで栽培されている地場品種で、全ブドウ栽培面積の約1/3を占めるオーストリアのフラグシップとも言える白ブドウ品種です。柑橘系のアロマや白コショウの風味が特徴のライトボディ・タイプから、トロピカルフルーツなど完熟した果物のアロマにオーク樽熟成のコクのあるタイプまで、様々なタイプの白ワインが造られています。軽めのタイプは和食、厚みのあるタイプはエスニック料理などとの相性が良いと言われています。

グリューナー・ヴェルトリーナーのおすすめ生産者:ニコライ・ホーフ

ニコライホーフ/グリューナーフェルトリーナー [2017] 白ワイン 750ml

ニコライ・ホーフは、ニーダーエストライヒ州の白ワインの銘醸地ヴァッハウで、オーストリア最高峰の品質を誇るビオディナミの生産者です。世界でいち早くビオディナミ農法を取り入れた自然派ワインのパイオニアとしても知られています。農薬や化学肥料を一切使用しないナチュラルなワイン造りを行っています。グリューナー・ヴェルトリーナーの他にリースリングも栽培しています。

このワインは、フレッシュな酸味が心地よいライトボディのグリューナー・ヴェルトリーナーです。品種の特徴でもある白コショウのスパイシーなアロマが印象的な、ニコライ・ホーフのカジュアルクラスのワインです。

ベリー風味のフルーティな味わい:ツヴァイゲルト

オーストリアの中で最も栽培量が多い黒ブドウ品種です。冷涼な地域で栽培されることが多く、日本でも東北や北海道などの地域で栽培されています。チェリーなど赤系ベリーのアロマが特徴のライトボディの赤ワインを産み出します。酸味は滑らかで、ほのかに草のようなグリーンな苦みが感じられます。またツヴァイゲルトから造られるロゼワインは果実味が豊かで非常に人気があります。シンプルな鶏肉や豚肉料理とよく合います。

ツヴァイゲルトのおすすめ生産者:ゲゼルマン

ゲゼルマン/ ツヴァイゲルト [2017] 750ml

ゲゼルマンはブルゲンラント州にある家族経営のワイナリーです。オーナーのアインベルト・ゲゼルマン氏は、父のアインベルト氏と共に世界のワイン栽培地を訪れてワイン造りを学び、現在はブドウの個性を存分に活かしたワイン造りに力を入れています。

この赤ワインは、軽やかでフルーティな味わいのツヴァイゲルトです。ソフトで滑らかなスタイルで、少し冷やして飲むのがおすすめです。

スパイシーでしっかりとした果実味が特徴:ブラウフレンキッシュ

ブラウフレンキッシュは、オーストリアの赤ワイン用の地場品種の中で最も上級なブドウと言われています。スミレや赤いベリー系の果物のアロマと、黒コショウなどのスパイシーなニュアンスが特徴的で、スモーキーな風味を持つ黒ブドウ品種です。色は紫色で、タンニンと酸味が強く、余韻は長いです。食事との相性も良く、特に牛や子羊などを使った上品な味わいの赤身肉のお料理に向いています。

ブラウフレンキッシュのおすすめ生産者:クルッツラー

クルッツラー/ ブラウフレンキッシュ (SC) [2014] 750ml

クルッツラーはブルゲンラント州にワイナリーを構える、世界的にも評価の高いワイナリーです。ブラウフレンキッシュ100%で造られる、グルッツラーのフラグシップワイン「ペルウォルフ」はオーストリアを代表する赤ワインの一つとしても有名です。オーストリアのブラウフレンキッシュの魅力を存分に表現したワイン造りに定評があります。

このワインは、チェリーなどの赤系果実のアロマに、ほのかにスパイシーな印象のある、ミネラル風味豊かなグルッツラーのカジュアルクラスのブラウフレンキッシュです。バランスが良く、飲み心地よい味わいの赤ワインです。

オーストリアのワインは、軽やかながらも独特なスパイシー感のある個性的な味わいが特徴的です。特に白ワインのグリューナー・ヴェルトリーナーは、日本人にも親しみやすい味わいで人気があります。素敵なクラシック音楽を聴きながら、お食事と一緒に上品で個性的なオーストリアのワインを味わってみてはいかがでしょうか。

逢沢 まいこ
大学時代、ヨーロッパへの留学をきっかけにワインに目覚める。某ワインインポーターにて法人向けの外勤営業として6年間勤務。在籍中にJ.S.A.ワインソムリエ、WSET Level 3を取得。休日に登山やキャンプにワインを持っていき、仲間と一緒にアウトドアでお酒を嗜むことが生きがい。