【プロが解説】コスパ最強イタリアワインベスト3

ワイン生産量が世界一のイタリアでは、実にさまざまなワインがあります。土地固有のブドウ品種で造られる個性豊かなワインは、飲むだけで陽気な気分にさせてくれます。幅広い味わいのワインがあり、値段も安いものから高級なものまで多岐にわたります。

今回は、多種多様なイタリアワインの中でも、特にコストパフォーマンスのよいワインをご紹介します。

コスパ最強イタリア白ワイン【ヴェルディッキオ】

ヴェルディッキオは、イタリア中部のマルケ州のヴェルディッキオ種から造られる白ワインです。ヴェルディッキオには、海岸付近で造られる「ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ」と、内陸で造られる「ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ」があります。海岸付近は海洋性気候で、内陸は山岳性気候と気候が異なり、味わいも異なります。イエージはミネラル感がありキリッとした味わいで、マテリカは白い花の香りでエレガントな味わいです。両者ともDOC(統制原産地呼称)ですが、熟成がより長くなる「ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエジ・リセルヴァ」と「ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ・リセルヴァ」は、格付けの一番上のDOCG(統制保証付原産地呼称)となっています。

ヴェルディッキオという名前は、「ヴェルデ(緑)」に由来し、緑がかったイエローの色をしていて、桃やリンゴのニュアンスがあります。リセルヴァは、黄金色がかったイエローで、パイナップルを思わせる果実や、アーモンド、ハチミツのニュアンスがあります。

ボトルの形がユニークで有名になったワインでもあります。アンフォラと呼ばれる古代ギリシャ、古代ローマの壺の形で、くびれのあるボトルです。その形が魚に似ていることから「魚のワイン」とも呼ばれました。現在ではボルドー型のボトルが主流になりましたが、今でも「魚のワイン」として親しまれています。

魚のワインと呼ばれるのは、ボトルの形だけではありません。イタリアでは、ヴェルディッキオは魚にマッチする白ワインとして知られ、魚を提供するレストランにとっては欠かせません。生、グリル、オーブン焼き、フリットなど、どんな調理法の魚にもマッチします。そして、なんといってもコスパがよく人気のワインです。

モンカロ「ヴェルデ カ ルプテ ヴェルディッキオ スペリオーレ」

モンカロは1964年設立の協同組合で、現在は有機農法をおこない、サスティナブルなワイン造りに取り組んでいます。

「ヴェルデ カ ルプテ ヴェルディッキオ スペリオーレ」は、アカシアの花、ハーブのニュアンスがあり、味わいはフレッシュですっきりした辛口。発酵中に発生する澱を取り除かず、そのままタンクに残すシュール・リー製法のため、ワインにまろやかさがあります。さまざまな魚料理に合わせることができ、生の魚や甲殻類とも相性抜群です。

ウマニロンキ「プレーニオ ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージ クラッシコ リゼルヴァ」

ウマニロンキは、マルケ州のリーダー的存在である生産者で、マルケ州のみならずお隣のアブルッツォ州にもブドウ畑を所有し、その面積は210ヘクタールに及びます。

「プレーニオ ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージ クラッシコ リゼルヴァ」は、熟したリンゴやアーモンド、ハーブ、ハチミツのニュアンスがあり、口当たりはやわらかく、酸味、アルコール、塩味(えんみ)のバランスがとれていて、余韻が長いのも特色です。魚料理のみならず、鶏肉とも合わせることができるヴェルディッキオです。

コスパ最強赤ワイン【モンテプルチアーノ・ダブルッツォ】

モンテプルチアーノ・ダブルッツォは、イタリアの中部アブルッツォ州の赤ワインです。アブルッツォ州は、イタリアで最も緑の多い州で、州面積の36%が国立公園になっています。そんな自然の多い地で造られるモンテプルチアーノ・ダブルッツォは、アブルッツォ州の原産地呼称ワインの約80%を占め、イタリアで最も生産されているDOCワインのひとつです。ブドウ品種は、モンテプルチアーノ種。産地が広いため安価ですが、力強いフルボディのワインで、近年脚光を浴びています。

色が濃く、ベリー系の果実味が豊かで、タンニンのしっかりした味わいです。心地よい飲み口でフードフレンドリー。パスタ、野菜、肉料理など幅広い料理に合わせることができます。

トスカーナ州には、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノというワインがあり、この場合のモンテプルチアーノは地名です。ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノはサンジョヴェーゼ種から造られるワインですので、混同しないようにしましょう。

「キューザ グランデ」ロッコセッコ モンテプルチアーノ ダブルッツォ

有機農法を実践し、有機認証を取得している造り手です。ベリー系の熟した果実やバニラのニュアンスがあります。タンニンはなめらか、かつまるみのある味わいで、アルコールとタンニンのバランスがとれています。豚肉や牛肉料理と一緒に楽しみたいワインです。

ヴァッレ レアレ「ヴィニエート サンテウザニオ モンテプルチアーノ ダブルッツォ」

緑豊かな国立公園内にあるワイナリーです。標高の高い山岳地帯に位置するため、昼夜の寒暖差が大きく、ブドウがゆっくりと成熟します。そのため、エレガントな味わいのワインとなります。ベリー系の赤い果実の香りと味わい、そしてその余韻が広がる優美なワインです。

コスパ最強赤ワイン【プリミティーヴォ】

プリミティーヴォは、イタリアの南部、プーリア州のブドウ品種です。プーリア州は、温暖な気候、肥沃な土壌で、平地が多いためブドウ栽培もしやすく、ワインの生産量はイタリア第2位の州です(1位はヴェネト州)。プーリア州のワインは、バルク取引されていて安価でしたが、近年品質が向上し、特にプリミティーヴォはコスパのいいワインとして注目されています。プリミティーヴォはカリフォルニアのジンファンデル種と同じ品種といわれ、アルコール度数が高く、濃厚な味わいです。色は濃いルビー色で、ブラックベリーのような果実の香りで、しっかりとしたタンニンがあります。味の強い肉料理に合わせることができます。

フェッリーネ「イ モニーリ」

フェッリーネは、複数の生産者から成るグループで、それぞれの生産者の土地を反映したワインを造っています。

「イ モニーリ」は、熟した赤い果実、スパイスやハーブの香りが広がり、骨格のある味わいながら、お得な価格で非常にコスパのいいプリミティーヴォ種主体のワイン。値段以上の味わいを楽しむことができる優秀なワインとして評判も上々です。

フェッリーネ「プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア」

プリミティーヴォ種は、プーリア州の広い地域で栽培されていますが、その中でもマンドゥーリア周辺のプリミティーヴォ種から造られる「プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア」が原産地呼称となっています。

フェッリーネのこのワインは、カシスやサクランボのような果実味たっぷりです。6か月間フレンチオークで熟成されるため、バニラやチョコレートのニュアンスもあります。味わいは濃厚で、まろやかなタンニンがあります。

まとめ

コスパのいいワインは、家庭の食卓に取り入れやすく、デイリーの食事と合わせることができます。どれもイタリア固有の品種で、イタリアの太陽を感じることができます。ぜひ気軽に楽しんでみてください。

太田 由歌
イタリア在住ワインコーディネーター。 2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。 トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。 フィレンツェ・イン・タスカ代表